日本の墓は代々継承者を決めてその人が管理料を納め永代に使用していくシステムでした。
ところが戦後、核家族化や少子化の進展だけでなく、子どもがいなかったり、いても女の子だけ、あるいは生涯結婚しない人も増え、後継者がいることを前提とする従来のお墓のシステムに合わないケースが増えてきました。
そこで、墓を支える母体が従来の家族ではなくお寺だという「継承を前提としない墓」が、彼らの救済として日本で始めて登場しました。
それが比叡山延暦寺の「久遠墓地(1985年)」です。
その後、各地で家族や血縁を超えて入る一代限りの新たな形態の墓が相次いで建設されるようになりました。
これが「永代供養墓」と呼ばれるものです。
一般檀家寺においても無縁墓対策やお寺の維持のため新しい縁を求め、お寺が存続する限り永代お墓を守っていくという各種の永代供養墓が全国各地でつくられるようになりました。
この15年程の間に急速に数を増やし今や600を超えるまでになっています。
永代供養墓には、最初から血縁を超えた遺骨を合祀(合葬)するタイプと一定期間家族や個人で墓地を使用し、その後、合葬される2つのタイプがあります。お墓を取得しようとする人の価値観や家族の状況にあわせて選べます。
この永代供養墓は、残される人がいる場合もいない場合でも対応してもらえ、誰にも心配や負担をかけないことや無縁にならない安心から利用者が増えています。