亡くなった方をいつも身近に感じたい、いつも近くにいて見守って欲しい。
大切な人を亡くされたご家族の正直な気持ちではないでしょうか。
もちろん、古来から日本人は、お墓参りをしたり、仏壇に手を合わせたりすることで昔から日本人は故人を身近に感じていました。
でも、現代の生活スタイルが変化するにつれて、それが適わない、それでは満足できないという方が増えています。
例えば、こんな想いを持つ方が年々増加しています。
●大切な人を遠くに葬りたくない
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●お墓が遠方のため、墓参りが難しい
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●経済的な理由など何らかの事情でお墓を建立できない
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●供養を人任せにしたくない
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●無宗教なのでお墓や戒名は不要、自分らしい最期を
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●残る家族に余計な負担をかけたくない
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●仏壇が無い、あるいは置く場所が無いが何かで故人を偲びたい
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こういった声に応える形で生まれてきたのが手元供養で、最愛の方の遺骨を身近に置くことで、心のよりどころとなり、
手を合わせ、或いは握りしめ、故人を偲び、語りかける自由なかたちの供養です。
「仏壇は置けないが大切な人を身近で偲びたい」、「遺骨をお墓に納骨すると一人になり淋しいので、一部を身近に置いていたい」
といった方々の「故人を想う心」を癒す、新しい供養の方法といって良いでしょう。
手元供養を行った方々へのアンケート調査でも、「手元供養」を選んだ理由の上位3つは「故人の一部である遺骨は、
仏壇や位牌より身近に感じられる」「そばに置いてあげたかった」「持ち歩くことができて、
いつも一緒にいる感じがいい」となっており、供養といっても自由で形式にとらわれないところが魅力です。
従来の形にとらわれず、自分らしいライフスタイルや気持ちの表現として、自分らしい、故人らしい供養の想いにお応えする偲びと
癒しの対象をご検討なさってはいかがでしょうか。
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手元供養が新たな供養の方法として年々広く認められてきているのには、供養の方法が時代と共に多様化している事と無縁ではありません。
■家族の変化、お墓システムの崩壊
核家族化、少子化が進んでいます。 2005年現在、わが国では、全世帯の6割弱を核家族世帯が占め、夫婦と子どもからなる世帯は全世帯の3割しかありません。
子どものいる世帯に限ってみても1世帯の子供の数は1.6人にしかすぎず、これから の子供たちの多くは一人っ子どうしの結婚になることが多くなります。
そのの結果、どちらかの「家」がなくなり、結果として、新しい世帯では、2つの墓を守っていかなければなりません。
新しくお墓を建てても、このお墓の半分は子供たちの代で継ぐ人がいなくなってしまいます。
嫁いだ女性が実家の墓の面倒もみなければならなくなり、実家の法事ごとやお寺さんのお付き合いなどが一身に重く肩にのしかかって来るのです。
宗教離れとともに、法律的にも戦後の民法改正で「イエ制」から「夫婦制」への移行し、従来のイエ意識は薄まって来ているので、次の世代では、
家のお墓の管理も行き届かなくなり最終的には無縁墓となっていくケースも増えるでしょう。
継承を前提とする従来のお墓のシステムの崩壊です。
すでに都市においても地方においてもこのお墓の無縁化は進んでいます。
■故人のお骨を手放せない人たち
逆縁(子どもの早世)や、大切な連れ合いを亡くし寂しくて遺骨をお墓におさめられない人たちにとってのグリーフケアとしての働きがあります。
■人生50年時代から80年時代に!(お金をかけたくない、かけられない)
寿命が延びた分、リタイヤ後の生活費、趣味活動、旅行、医療費などの出費が増大し、
葬祭費用に使うお金を人生を楽しむ費用や子や孫に残そうと考えている人が増えています。
「自分らしく」と「子どもに迷惑かけたくない」がキーワード。
■永代供養墓:継承を前提としないお墓の登場
檀家・檀那寺の関係の希薄化を背景に、従来のお墓を支える母体を、家族からお寺
に移した永代供養墓が登場してきました。
1985年の比叡山延暦寺の久遠墓地に始まり、現在、全国に500箇所以上の永代供
養墓が出来てきています。
■散骨、樹木葬:墓に納骨しない選択の登場
散骨(海洋散骨が主)が年々増加しています。現在、全国に約20数業者が散骨サービスを行っています。
樹木葬も人気で、1999年に始まった里山型樹木葬の草分け岩手の祥雲寺の他、都市型樹木葬ともいえる桜葬なども人気です。
こういった環境もあって手元供養が人気なんですね。
実際に手元供養を選択される方には、大きく2つタイプの方があるようです。
■故人への想いが非常に強い方
逆縁(お子様を亡くされた)や、長年連れ添ってきた連れあいが亡くなり、お骨を手放す淋しさに耐えられない人が
、オブジェにして手元に置いたり、ペンダントにして身につけたりする事で、グリーフケア(親しい人を亡くされた方の心の癒し)
の一助として使われる方。
■さまざまな理由からお墓の代わりとして使うケース
●お墓の継承者もなく無縁仏になる可能性が高い場合、永代供養合祀墓と組み合わせで。
●散骨や樹木葬など自然葬を希望している人が、一部を残し遺族が手を合わせる対象として。
●そもそもお墓は不要と考えてるが、何かで偲んでもらいたい。そのお墓の代わりとして。
●次男3男や嫁いだ身だが、両親を供養したい。それも大袈裟でなく。
●経済的、あるいは何かの事情でお墓を建立できない。お墓の代わりとして手元供養品で。
●できるだけ子どもに面倒かけたくないが、供養はしてもらいたいので手元供養品を墓代わりに。
●お墓が遠く、気になりながらもなかなか墓参りできない人や、高齢で墓参が困難になってきた人が
一部を分骨し日々の室内墓として。
●海外生活や、転勤などで墓地の場所が決められないので、手元供養で。
●骨の一部を手元に残しておき、移動あるいは携帯できるお墓として。
●洋風の生活なので部屋にマッチする小型仏壇との組み合わせや仏壇代わりとして。
このように、手元供養は、形式にとらわれない「自由」で「広い」使われ方が特徴です。
言い換えれば、理屈ではなく本音のそれぞれの思いの表現として“自分らしい”“故人らしい”供養の想いに応える対象となっています。
「自宅にご遺骨の一部を自宅に取って置きたい」、「一緒に旅行がしたい」、とはいっても実際にはどのようにしたら良いのでしょうか。
実際、お骨を収めるとなると、なかなか適当な容器がないのが現状で、「火葬場からもって帰ってきたあの骨壷のままでは…」という方が多いのもうなずけます。
そういった中、近年では手元供養にふさわしい専用容器や、お骨を加工したアイテムも多く市場に出回ってきています。
大切なご遺骨を収めたり、身に着けたりするわけですからご希望のライフスタイルに合わせて、信頼できる製品を慎重に選ぶのが大切です。
●オリジナルのメッセージが焼き付けられる世界にひとつだけの納骨オブジェ
●ご遺骨の一部を持ち歩けるように…(ペンダントタイプ)
●ご遺骨を加工して身につけたりご自宅に…(遺骨加工タイプ)
変わり始めた「お墓・供養」の考え方
死んだら「○○家の墓」に先祖と入るー。
最近、こうした「常識」が変わりつつある。これまでの「○○家の墓」
は、子々孫々での継承を前提としてきた。
家族のありようや価値観が多様化し、墓の跡継ぎ問題に悩む人は少なくない。
「子供や孫に負担をかけたくない」「転勤族の子どもや結婚した娘には墓守を期待できない」
子どもがいない夫婦やシングルも増加している。
継承者がいなければ、無縁墓として処分されてしまう・・・。そんな事情もあり、「○○家の墓」にこだわらない人が増えている。
なかには墓に納骨しないことを選択する人もいる。
例えば散骨。今や「思い出の地に撒いてほしい」と考える人は珍しくない。
「マディソン郡の橋」や「世界の中心で愛をさけぶ」など話題の純愛小説で、散骨がロマンティックに描かれている影響もあるかも知れない。
(中略)
愛する配偶者や子どもを亡くし、「遺骨を自分のそばに置いておきたい」と願う人は多い。3年前に公開されたロバート・デ・ニーロ主演の
「ミート・ザ・ペアレンツ」では、祖母の遺灰が入ったつぼが暖炉の上にさりげなく飾られていた。欧米では、こうした光景は珍しくない。そのため骨つばの種類も豊富にある。
(中略)
そもそも「○○家の墓」が日本で一般化したのはせいぜい明治末期以降。歴史があるとは言えないのだ。
世間体、死への畏怖、家意識、親せきとのしがらみ、慣習。葬送にはさまざまな要素が絡み合う。
しかし立派な先祖墓も、自宅の安置も、散骨、故人を偲ぶ遺族の気持ちには変わりないはず。
(中略)
日本でも納骨以外に選択肢が広がっていくのは歓迎すべきことだと思う。
※上記は平成16年4月23日の讀賣新聞に掲載された小谷みどりさん(第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部主任研究員)の投稿文です。
この中に今の時代が求めているの供養のカタチの一つである「手元供養」が明確にあらわされています。